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 「倣う」ことで見つけたこと

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私の問である「日本画ってなぁに?」 答えのようなものに触れられた気がしています。 その意味で reboot なのです。 誤解を恐れずに言葉にすれば、「日本画を学ぶこととは、楽器の使い方、楽器による表現を学ぶようなことだったのかもしれない」と、今、実感しているのです。重要な要素は使う道具、毛筆でした。 もちろん、私が音楽について何かを語れるほどの力が無いことは重々承知です。それでもこのように表現することで腑に落ちること、実際に描くことで出会ったことなど、何度も説明しようとする課程で触れてきたことを具体的にできるのではと思っているのです。 実際に倣って制作することで触れた制作における「時間」についての感覚。身体の動きとそのレスポンス、フィードバック。共有可能な時間表現の存在を今、思っています。他人との違いでは無く、同じことを行うことによって得られる喜び、この国の豊かさの手応えといったものの存在です。 個展紹介その2 掲載の画像は、「山あじさい」です。気化させた硫黄による硫化銀・流水と、金箔による下地、加えて、たらし込み表現による植物の組み合わせ。 岡山天満屋での通算10回目となる個展  展覧会名: reboot 森山知己展 場所:岡山天満屋美術画廊 直通電話:086-231-7523 会期:2026年6月10日(水)から15日(月・最終日は午後4時閉場)

reboot 森山知己展 岡山天満屋

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  岡山天満屋美術画廊で3年ぶり10回目になる個展を開催していただきます。上記画像は出品作の枕屏風「鯉魚図」です。銀箔を貼り重ねた空間と水墨表現を基調とした鯉です。 「宙に咲く」青金箔に銀箔の硫化表現、扇面にハナミズキを描きました。植物、花を描いた作品もあります。 このサイトで紹介した < 燻による流水表現の追試 4月 02, 2026 >トップ画像に写(左側)る硫化した箔の下地に紅白梅を描いた作品です。「流水紅白梅」 銀箔硫化表現、変化を利用した表現のバリエーションも並べます。「流水山あじさい」 短冊やSMなど小さな作品も出品予定。もちろん「水の記憶」シリーズも。 展覧会名: reboot 森山知己展 場所:岡山天満屋美術画廊 直通電話:086-231-7523 会期:2026年6月10日(水)から15日(月・最終日は午後4時閉場) 会期中は会場に毎日通う予定です。ご高覧いただければ幸いです。(会場でお迎えできればよいのですが、場を離れる場合もあると思います。もし来場のお時間等が分かる場合メールなどいただければ・・・・) ご案内まで。

燻による流水表現の追試

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 昨年、NHK-BS 解剖!マスターピース 尾形光琳「紅白梅図屏風」に出演させていただいたおり、湯の花を使い、それを電熱器で温めることで発生するガスを用いて銀箔を燻す技法を実験しました。銀箔を硫化させて「黒い水流」、流水表現を作り出したのです。このサイト記事で、その実験課程、結果なども紹介しましたが、狙い通りに出来た部分もあり、また狙ったとおりに行かないもどかしさも感じたというのが正直なところでした。 このあたりをスッキリさせたい!。 今年、6月10日より岡山天満屋で3年ぶりの個展を開いていただくことも有り、その出品作を作る過程としてこのあたりの追試を試みました。 ■注意!! ごく少量(花火程度)とはいえ、硫黄を気化させることで行う実験です。予期せず発生したガスを吸い込んでしまうなど実験者自身も危険を伴うこと、また漏れたガスによる匂いなどで周辺の環境に迷惑、影響を及ぼす可能性があります。これらのことが理解できない、またその対応が考えられない方は論外です。安全に配慮した実施が出来ない、可能性が考えられるケースでは、絶対に行わないでください!!。 トップの画像は、反応後、実験用ビニールハウスから取り出したばかりの様子です。ほぼ、狙った結果を出すことが出来たように思います。右側の短冊は意図的にブルーの段階で取り出しました。左側はより反応時間を長く取ったものです。 今回用いた実験用のビニールハウスです。 これまでとの違いは縦方向に大きくしたことです。「熱して気化させた硫黄ガスは温かい」当たり前の事ながら、ガスはまず上昇するのです。上部の濃度が必然的に早く上がることが想定されます。 また外気温についても注意しました。急激に外気温で冷やされる状態は避けることにしたのです。落ち着いた天候、外気温の元で実験を行いました。銀箔部分をなるべく上方に設置しています。 また、電熱器の発する熱によって、ビニールが溶ける危険も考慮し、上方にビニールハウスを伸ばすことで回避しました。(高さ90cmを確保しました) 実験ピースを入れたビニールハウス内部の様子です。銀箔面にドーサ液で描いた線が太陽光線の反射状況でわかると思います。(準備はこれまでと変わっていません) 電熱器を使って熱したのは、今回は「硫黄粉」です。 「湯の花」の場合、同じように量り取ったつもりでも毎回同じにならないのは、その...

「黒い水流」流水表現のまとめ

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 2026年1月9日 第2回 現代日本画10人展 のオープニングパーティーに出席、翌日は終日会場に詰めて、昨日岡山に帰ってきました。メンバー、関係者、知人、たくさんの方々にお目にかかり、お話することが出来ました。上記画像は森山の出品作のうちの一枚、「流水紅白梅」です。P30号縦の大きさです。和紙に金銀箔を貼り、それに岩絵の具、胡粉、墨他など、この国の絵画で伝統的に使われてきた材料で描いています。ポイントは、下部にある黒い流水表現。尾形光琳が国宝 紅白梅図屏風で用いたのではないかと考えられる技法を用いて表現しています。  紅白梅図屏風 流水表現の実験2025とTV番組 2025 11月30日の記事 で紹介した技法です。 上記はもう一点の出品作、放送番組内で実際に硫化反応を行ったパネルに描いた「殿様蛙」F6号縦です。   尾形光琳作 国宝 紅白梅図屏風の特別さ 2025 12月4日の記事 で、私の取り組んだ具体的な技法の紹介をしています。 今回、実験に取り組んで感じたことは、実際に燻す(硫黄をガス化して用いる手法)技法では、作品が大きくなるにつれて考慮する要素が増え、再現性を上げることが難しくなることでした。だから、尾形光琳の描いた紅白梅図屏風の流水、他に類例が残っていないではないかという推理をしたのです。 上記二点を1月23日までの  現代日本画10人展2026年1月9日より 2025 12月21日の記事 に出品しています。特に30号「流水紅白梅図」の硫化反応作業の影響は、金箔部へも及んでいます。実際の金箔の質感変化、銀箔の反応色合いの違いなど見て頂く機会になればと思っています。興味を持っていただければ幸いです。 尾形光琳によって国宝 紅白梅図屏風の流水部が描かれた折、もし「殿様蛙」の流水のような状態(銀色部分はそのまま、それ以外が黒い状態)であったとしたら、経年変化で銀色の部分が茶色になったり、またある時は青くも見えたことがあるであろうこと、そして現在のような状態にもなるだろうと考えられます。一方、初期段階で反応をより進めれば、その状態は、もう一枚の「流水紅白梅」の流水のようになります。その後の経年変化においてグレー系の表面色、そのまま黒い表面の痕跡、差が残ることになります。 銀色をうまく残す表現において、硫黄粉を撒く直接反応の...

津軽家の所蔵 紅白梅図屏風

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 先日、縁あって手元に来た別冊太陽 1974年春号 琳派百図 光悦・宗達・光琳・乾山の内容、ポイントとなる一部 ( 尾形光琳と乾山 黒い水流の謎(12月 08, 2025 ) を紹介しました。そして今度は上記画像の本です。なんと今度は、先日のNHK-BSの番組(解剖!マスターピース尾形光琳「紅白梅図屏風」)をご覧になった弘前の知坂 元さん(全く初めての方です)からご連絡がありました。そして紅白梅図屏風について津軽家の古文書をまとめた自身の本、「卍の至宝 紅白梅図屏風」を送ってくださったのです。 尾形光琳による紅白梅図屏風は、婚礼祝のために津軽藩の求めで描かれたこと。また津軽藩江戸屋敷で東京大空襲による火事で火と水を浴び、そして助け出されたこと、加えてはたして誰と誰の婚礼祝だったのかなど、史実を積み重ね、解き明かしていきます。 描かれてから240年間津軽家に所蔵されていた尾形光琳作 国宝 紅白梅図屏風を巡る話の数々、地元弘前の子どもたちのためになればと、郷土史をわかりやすく本にまとめているとのことです。 紅白梅図屏風がつくりだす縁、広がっていきます。

尾形光琳と乾山 黒い水流の謎

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 岡山市にある美術書専門の古書店、 月吠文庫 の主人である藤原義人さんに一冊の本を用意していただきました。「別冊太陽」「琳派百図 光悦・宗達・光琳・乾山」、1974年春号です。表紙からして尾形光琳の紅白梅図屏風です。私がきっと必要とするだろうと思われたとのことです。 琳派にまつわることがたくさん掲載されているのはもちろんですが、私の今回の興味は、緒方深省(おがたしんしょう・尾形乾山のことです)覚書・乾山と光琳 と、題した水尾比呂志さんの文章が掲載されていたことです。 NHK-BSの番組出演もあり、尾形光琳作 国宝 紅白梅図屏風の中央に流れる黒い水流の謎に再び取り組み、その手法について実験した話はすでに紹介しました。   紅白梅図屏風 流水表現の実験2025とTV番組 尾形光琳作 国宝 紅白梅図屏風の特別さ そして、その番組の裏話とともに紹介した実験ピースが上記画像です。 この銀箔の硫化の様子、フリーア美術館所蔵の光琳作 群鶴図屏風に見られる流水に、もしかしたら近いのではないかと思っています(実際に見て比較したわけではないのであくまで推測ですが)。この取り組み、画像を Benjamin Gordon さんに紹介したところ、即座にこの燻す手法が粉を撒く手法よりもずっと正当性があるのではないか、そして、「番組では、尾形乾山に触れましたか?」と質問されたのです。 そう、ここで冒頭の書籍につながるのです。 水尾比呂志さんが紹介する文章 緒方深省覚書 の中で乾山の言葉として、(文・引用)兄は江戸滞在を続け、津軽越中守様のお屋敷に出入りして揮毫した。あの紅白梅の屏風や草花の巻物はその時描いたのである。これは私も下江してから見ることができたが、屏風は息を呑むほどのみごとさで、なかんづく中央を流れる水紋は、大胆不敵、傍若無人の筆力であった。布置形象と言い渦線の力強さと言い、銀泥と色料のあしらひと言い、まことに宗達に太刀打ちして負けをとらぬ名作と讃えても過ぎることはない。草花の図巻も没骨の妙味を駆使した佳作であって、光琳がいかに宗達をよく究めたかを如実に物語っていた。(引用・終わり) この文章を読む限り、乾山は光琳の紅白梅図制作に直接関わっていないことがわかります。 しかし、 Benjamin Gordon さんの言葉:「自分には乾山と光琳の二人が協力して屏風を窯に入...

尾形光琳作 国宝 紅白梅図屏風の特別さ

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2011年に描法再現に取り組ませてもらってから14年が過ぎ、再び、尾形光琳作 国宝 紅白梅図屏風についてのNHK-BS番組にかかわらせていただきました。(上記画像は、番組映像として我が家で実験した結果のテストピースを撮影している様子です) いただいた役割は、「紅白梅図屏風」をより深く鑑賞する手がかりを提案すること!、何名かの「解剖医」のひとりとして登場です。以前の描法再現への取り組み、制作してわかったことなどをお話する役割とのことでした。ちょうど私が 今年銀箔を使った表現 について取り組んだこともあり、打ち合わせの中で、以前積み残していた実験も含めて行うこととなりました。このあたりは、ひとつ前の記事、以下にまとめています。 紅白梅図屏風 流水表現の実見2025とTV番組 11月30日 ------------------------------------------------------------------------------------------ NHK-BS 解剖!マスターピース 尾形光琳「紅白梅図屏風」 【BS】12月  4日(木)午後8時00分~午後8時44分 【BS】12月10日(水)午前9時45分~午前10時29分(再) 4日の放送が先程終了しました。流石!番組制作プロの方たちです。私のグダグダなところをスッキリ仕上げてくださっていました。感謝!!。 番組では、ご覧いただいた通り、「湯の花」(硫黄)を気化させ、燻す手法によっても銀と黒のコントラストある2011年に行ったような結果が実現できました。 ------------------------------------------------------------------------ さて、、、、森山パートの裏話。 撮影日は、晴れ。とても良い天気になりました。午前は、リハーサル用として同じ大きさで準備した実験ピースを屋外に持ち出し、本番と同じように燻してテストしました。硫黄を気化させるための熱によって反応ボックスのビニールが溶けそうになったおりの対処についても確認することが出来ました。そして出来上がったのは、以下結果画像です。 放送と異なりますね^^;。うぐいす色のような色が基本となり、部分的に少し赤みを含んだ箇所があるといった結果となりました。反応経過では、それまでの事前実...

紅白梅図屏風 流水表現の実験2025とTV番組

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2011年、ご縁をいただき、熱海MOA美術館が所蔵する尾形光琳作 国宝 紅白梅図屏風の倣作に取り組む事が出来ました。そしてその取組では、私の問である「日本画とはどんな絵画なのか?」について考える折の多様な出会いや気づきを与えてくれました。一連の出来事、実験については以下にまとめて紹介しています。 国宝 尾形光琳作 紅白梅図屏風の描法再現 記録 2025年の今年、これも不思議なご縁から倣作に取り組んだ大阪 天野山金剛寺所蔵の 国宝 日月四季山水図屏風。すでに2022年に右隻を描いていたのですが、対になる左隻も描いて一双にと制作を行いました。この制作を行うに当たって、光琳の紅白梅図屏風技法再現のおりに取り組んだ銀箔硫化表現についてを再考することになりました。どちらにも銀箔が使用されており、制作されてからの長い年月の間に、どんな変化があったのか、はたして描かれた当時はどのような姿であったのかについては想像するしか無い部分があるのです。 日本の絵画を代表する存在。どちらも私の心を捉えて離さない特別な絵画です。ワクワクする取り組みになった事は言うまでもありません。 上記2つの倣作は、現在、今治市大三島美術館での「和様に倣う」と題した展覧会(2025年12月7日まで)に出品、展示しています。また以下で紹介するのと同様の実験結果サンプルも参考展示しています。 ----------------------------------------------------------------------------------------------- 今年取り組んだ日月四季山水図屏風・左隻の倣作については、当初、紅白梅図屏風の倣作と同様に銀箔の硫化による表現を考えたことから、紅白梅図屏風倣作のおりに積み残していたことも含めて取り組んだのです。 問1)銀箔硫化を使った表現について( 倣日月四季山水図屏風制作のまとめ に紹介) 問2)紅白梅図屏風倣作のおり、銀箔硫化に用いたのは、現代の精製された硫黄でした。江戸時代、それより昔にこんな純粋な硫黄が手に入ったのだろうか、別の選択肢は? 問3)気体による硫化反応の確認(黒色だけではない変化色の存在) ++++++++++++++++ 問1)の実験について、直接反応(硫黄粉を銀箔の上に撒く・3日の反応時間)に対して反応結果が早く得られる手法とし...

講義・実技 箔の厚みと硫化表現 を行いました

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 日本美術家連盟の主催する公開講座の講師を9月24日行ってきました。講義したことを参加者のみなさんが実際に作業を行い体験する趣向です。(★使用している講座画像は日本美術家連盟様の撮影によるものです) 随分昔の話(2011年)になりましたが、いろんなご縁をいただき、尾形光琳の描いた国宝 紅白梅図屏風、あの「黒い水流」を試して描く機会をいただきました。またそれは、結果的に 私自身のテーマであるこの国の絵画、伝統とは何か? その問いの答えにつながる手がかりとなったのです。 昔、日本画滅亡論が言われたその頃、その魅力は「線と色彩」であると当時行われた美術専門誌のアンケートで多くの日本画家、洋画・版画家が答えたそうです。取り組む手法は違えど、この国の絵画文化において共通する何かを見つけていたことが想像されます。一方敗戦は、明治維新とは異なる西欧化への大きな動きとなり、それ以前との断絶と言って良い程の状況を生んだとのことです。戦後生の私が日本画に出会い、学ぼうとした頃には、日本画の壊すべき伝統とはなんだろうと改めて考えるような状況となっていました。 「線と色彩」のひとつ、「線」についてがまず最初のテーマになりました。琳派と呼ばれる流れの中に、風神雷神図を直接の関係なく、時を越えて描く事例が認められました。その髪の毛の描写、線にまず注目しました。 「そ」の話  各画家における風神の髪の毛の描法を比較する中で「線の秘密」への糸口へとしたのです。 線の秘密・水の時間  尾形光琳の紅白梅図屏風と同じ大きさで、また同じように描こうとすることで、描く身体を感じることになりました。それは「毛筆」を使うことによって明らかになるのです。尾形光琳の硫化表現は、筆跡によるマスキング、運筆について注目することになりました。 この間、墨、筆や膠、刷毛、表具、これらに手がかりとなる要素を次々に見つけました。 「たらし込み」における、箔の厚みで変わる発色の違い。梅の枝の長さと描く時間、水の量の関係。「線と色彩」について、墨や、胡粉の成り立ち、絵の具の良い発色、色彩について毛筆の使い方がベースとなっていることがわかって来たのです。尾形光琳の紅白梅図を同じ大きさで描いたからこそ知ることが出来たことでした。 講義ではこのあたりを図や筆の動きのアニメーションによって紹介しました。 そして紅白梅図に関わること...