箔の厚みと硫化表現 ワークショプ開催


 華鴒大塚美術館を会場とした日本美術家連盟さまの公開講座(地方開催)「箔の厚みと硫化表現」が昨日9月19日(日)無事開催されました。画像は反応BOX・ミニビニールハウスでの実際の反応実験の様子です。(反応が進んでいる様子が上部に少し見えています)


森山の準備1・反応用のビニールハウス制作です。今回は参加者の方に一人2枚の実験ピース(寸松庵色紙)を試していただく予定で、反応の様子も見えるようにと内部に棚を作成しました。反応後のガスによる危険回避のための取り出し方法も工夫しています。


森山の準備2・実験ピースの用意。

①前回と同様に寸松庵色紙全面に純銀箔を貼り込んだもの
②洋箔(真鍮箔=銅と亜鉛の合金)を貼り込んだもの
③銅箔を貼り込んだもの
④各種箔貼りまぜ(上記に加えて純金箔・青金・薄い銀箔含む)
上記を用意しました。

今回の実験の確認目的
その1・銅の硫化反応結果についての確認。洋箔(銅と亜鉛の合金である真鍮)も同様。
その2・銀箔に販社による違いがあるかどうかの確認(2社)
その3・硫黄ガスの濃度、想定(量)通りで反応するかどうか。(気温との関係)
その4・市販の金箔錆止用塗料の実験使用
その5・上記同様市販「保護剤」の実験使用(ドーサ液と同様に使用可能か?)

参加者多数であることから各種実験が同一条件で実施可能になります(反応設置場所による違いはあるかもしれません)


実験結果1
実験結果2

期待通り、想定通りの実験結果が出たように思います。
気温が高かった為か反応は一気に進みました。
反応も20分程度で濃いコントラストとなりました。(冬は30分以上かかりました)

昨年、東京でこのワークショップを行ったおりは、反応が途中で終わり、全員がほぼ均一に金色の少し濃い色程度の反応結果となりました。その原因として森山が考えたのは急遽、反応空間を少し広くしたことでした(空間に対して硫黄の量が不足した)また、同時に事前実験時に比べて気温が少し低くかった(反応に気温も関係した)。

対処その1・今回実験実施空間に合わせて、使用する硫黄量を以前成功した事前実験のおりの量に比例して増やしました。
対処その2・ビニールハウスの密閉を厳重に行いました。
実験としてはまだまだツッコミどころのあるものですが、想定通りの結果が出たように思います。

注意★実験実施については、硫黄使用についての届け出を行い、参加者の方々にやけどなどの危険が及ばないよう・またガスなどを吸い込まないように細心の注意を払って行っています。当然のことながら、どのような実験にも危険が伴います。実験内容が理解できない・安全確保が出来ない・近隣への様々な配慮が難しいといった場合等、行わないで下さい。


実験の確認目的 その2(銀箔に販社による違いがあるかどうかの確認(2社))とその4(市販の金箔錆止用塗料の実験使用)とその5(市販「保護剤」の実験使用)についての結果です。昨日、実験から24時間経過した状態です。結果的には線描を保護剤で行い、そして保護スプレーを行ったものは、線描部分にも反応が出てしまいました。

★右上のサンプルは、銀箔に線描は保護剤で行い、反応後にこれまで通りドーサ液を全面に塗ったものです。

特に画像左上に見られるマスキングを型紙を用いて錆止めスプレーで行ったものは、スプレーの吹付け具合による濃度差もあり、事件直後は魅力的な結果を見せてくれました。しかし、後で行った全面への吹付けがマスキングを弱めた様子です。

保護剤で線を描いた硫化反応防止は期待通りでした。一方、反応後に錆止スプレーを全体に行ったものについては、スプレーの溶剤が当初の線描保護剤成分を溶かしたのではないかと想定しています。


実験の手伝いに参加してくれた潮さんのテストピースです。線描はドーサ液で行い、反応後は錆止スプレーを全体に行いました。銀のマスキング部分について、マスキングに保護液を使ってテストしたものに現れた変化は無いようです。ただし全体に光沢のある被膜ができました。この上から水性絵の具による描画が出来るかどうかなどは実験を行っていません。

以上、実験結果についてのまとめと報告でした。

★最初の画像に映るタイムラプスカメラ!。機会は順調に動作、撮影はうまく行ったかに思われましたが、帰宅して再生してみると、残念!煙の濃度が上がり、一番見たかった反応の様子は撮影できていませんでした。プロの方の設置のうまさを改めて確認しました。

それぞれの作業では、水分の乾燥による待ち時間がありました。
その間、使用する箔の厚みが及ぼす表現結果について、また日本画における毛筆や線に対する考え方、素材についての講座も行いました。

加えて今回は、開催場所が華鴒大塚美術館・企画展中です。
「表具(表装)という伝統と今」掛け軸、屏風に関する展示、技術紹介、また現代の表現として森山、原田、潮の作品も並んでいます。最後に森山、原田、潮による展示解説も行われ、質疑応答も在りました。屏風材料の展示もあり、屏風制作の実際、材料確保についての質問があったことも付記しておきます。興味を持っていただけたとしたら幸いです。


表具材料を準備納品してくれている白神紙商店さん、岡山の文化活動をバックアップしている岡山県文化連盟さん、もちろん会場を提供、受け入れ準備もしてくださった華鴒大塚美術館さん、また手伝いにと来てくれた倉敷芸術科学大学の原田助教、潮技術補助員!ありがとうございました。

最後になりましたが、主催の日本美術家連盟の運営スタッフのお二人!遠路、本当にありがとうございました。また今回の公開講座に応募、参加くださった日本美術家連盟の会員さま、一般応募の方々、本当にありがとうございました。ワクワク・楽しんでいただけたとしたら森山も嬉しいです。
講座終了後・一部のメンバーでとはなりましたが懇親会も催され、活動など情報交換することが出来ました。これも良い機会になりました。皆様、お疲れ様でした。

★情報
会場受付で次回展覧会のチラシ、招待券が希望する参加者に華鴒大塚美術館・笠岡市立竹喬美術館より配られました。

華鴒大塚美術館 
2026年10月3日より2027年1月11日まで
岡山の近現代日本画展 前後期、二期で行われます。
後期展(11月21日より)では、森山の東京時代の作品が大小取り混ぜ何点も展示してくださるとか。11月29日には私のトーク?も予定されています。
会期中はギャラリートーク、美術講座、対談、シンポジウムなど盛りだくさんの企画となっています。

笠岡市立竹喬美術館
2026年10月17日より11月29日まで
伝統に息づく革新 榊原始更 展が行われます。

以上・お知らせでした。

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