「日月山水図屏風」左隻の倣作 その⑤


 左上部の雲に金箔を貼り終え、波頭の砂子も複数回蒔き終えました。画面全体の金属箔使用の箇所については、作業終了です。今日は、滝の流水部も含め、これら金属箔部分、加えて金泥、銀泥による線描箇所も含めて、酸化、硫化防止のための被膜(ドーサ液:水に膠と硫酸カリウムアルミニュウム12水を加えて作った水溶液)を必要箇所に塗りました。


上記2つの画像を比較、視点が変化することによって(屏風らしい谷折り山折りの状態に対して)たとえ平面であったとしても様相が変わって見えることがご理解いただけるのでは無いかと思います。

雪をいただいた山、白に銀の取り合わせ、銀色に輝く波頭、砕けた波、乳白色の地に動く波、わずかに入る金泥によるアクセント。雲に貼られた金箔の輝きも、この先に塗られる緑青や群青といった岩絵具とのコントラストを期待させてくれます。

雪をいただいた山、雪が積もった木々、緑深い山の木々、砂浜らしき海岸に生えた松の数々、岩礁、滝の廻り、具体的に描きこむ段階が来ました。

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