木炭・松煙・燻炭粉、墨作りワークショップ

画像は、今回のワークショップ実施のために、選定保存技術保存団体(木炭製造) 合同会社 伝統工芸木炭生産技術保存会さんが用意してくださった赤松の節、根の部分です。

★

岡山県立美術館の取り組み<じゅにあ・ミュージアム・Lab<10月>「森の恵み」>が10月4日(日曜日)、無事開催されました。

今回は午前午後の丸一日を使って実施のプログラムでした。美術館から外に出、森に入って材料を見つけ、それらを使って実際に子どもたちが自分で火を起こし、①記録する材料である煤を採取し、墨を作る②燻炭粉から固形墨を作る③小枝、植物を炭化させ、絵を描くときに使う木炭を作ってみる。④それらを使い、岡山の手漉き和紙、神代和紙に絵や自分が思う何かを記録してみるという<自然の恵みから記録する材料を実際に作り、使う>企画です。

実施場所は、「就実・森の学校&岡山県立美術館・研修室」

関係者・指導者は「工芸原材料の会×伝木炭×体験ラボ×県美」、そして、「岡山の作家・森山」でした。

岡山県立美術館から参加者がバスで向かった「就実・森の学校」です。美術館から約15分、アッという間に到着しました。木などを燃やして良い場所があり、また加工も可能なスペースとなっていました。

バスの中では、安定な記録を実現するテクノロジー、煤を紙など支持体に安定に定着させる接着剤である膠(ニカワ)の原材料である<森の恵み>鹿皮やイノシシ皮の実物(体毛は付いていますが乾燥させたモノ)に実際に触ってもらいました。またイノシシ皮と鹿皮の違い、墨を作る場合、イノシシ皮に比べて鹿皮の何が良いのかと言った話も行いました。

森の学校到着、まず、安全についてなど諸注意、作業説明、森に入って材料採取が行われました。

広場で火起こしが始まりました。マッチを使っての着火ですが、太い木など燃料を安定燃やすことも体験の一つ。生物、フィールドの専門家、医療スタッフも参加してのイベントです。

後ろ姿は、<体験ラボ>の藤田さん、阪田さん、緑のジェケットは<工芸原材料の会×伝木炭>の藤原さんです。

煤採取のため「竹」を使った「煙突」作戦。中節を取り除き煙突の管を作りました。

缶の中で火を燃やし、竹で作った煙道で煤を集める作戦です。


どのような材料、燃料を使い燃やすことができれば、煤が効率的に採取できるか?工夫しながらのチャレンジです。上記画像は、百均の金属ボウルを使ってやけどに注意しての取り組みです。


白い水蒸気では無く、黒い煙を出す燃料。

最初に紹介した赤松の根の部分や節など、油脂分の多い材料、箇所を使うことで驚くほど目に見えて「黒い煙」が出、煤が集まるようになりました。


③小枝、植物を炭化させ、絵を描くときに使う木炭を作ってみる。

雨が降り出して避難したテント。次の作業はこちらで行いました。ブリキの缶に空気抜きの穴を開け、その中に細い木の枝、イタドリの茎、おまけに?どんぐりや松ぼっくりなども入れて蒸し焼きにしました。炭化したものを取り出している様子です。


イタドリの茎が出来が良く、思いの外、デッサンに用いるような木炭を作ることが出来ました。


②燻炭粉から固形墨を作る
もみ殻を炭化した燻炭、この燻炭が壊れて細かくなったもののみを集めた燻炭粉を使っての固形墨づくり、ニカワを溶かして液体にし、それを燻炭粉に加えてお団子状にまとめました。最後はその団子を何度も机に叩きつけて硬さを調節し、形を整えました。持ち帰り、腐らせないように乾燥させてマイ燻炭墨の完成です。


雨の中、テントの下で松脂を溶かしてみる実験、そしてそれを木に巻いた布に付け、少々の雨に負けない松明を作ってみました。

お昼には雨脚が強まったこともあり、
予定を早めに切り上げ、岡山県立美術館・研修室へ向いました。

①記録する材料である煤を採取し、墨を作る

持ち帰った金属ボウルに着いた煤を集めます。思う以上の煤が集まりました。松煙です(着火に用いた他の原料煙も含まれています・中皿一杯に集まりました)。


それぞれが採取した煤にニカワを加えて墨をつくりました。比較のために用意した日本の油煙墨、清の時代の中国の松煙墨、それに自分たちで作った松煙墨、燻炭墨、思い思いに試して描きました。

墨の機能、性質、それを実現するテクノロジ、記録の歴史など解説も行いました。おまけは裏打ち。薄い紙を画用紙に貼り付けてみるなども行って今日はここまで。さて、どんな体験、記憶として残ったことでしょう。(森山としては・・・せっかくの鹿革、鹿の体毛があったことから原始的な筆も作ってみたかった・・・・です^^;)

★下の画像は、体験ラボ (一般社団法人 科学と伝統工芸育成研究所)藤田さんのお持ちになった鹿皮から切り取って少し分けていただいたものです。



参加した皆さん、スタッフ方々。皆様、おつかれまさでした。

岡山県立美術館 美術館教育担当 岡本さん
選定保存技術保存団体(木炭製造) 合同会社 伝統工芸木炭生産技術保存会 藤原さん
一般社団法人科学と伝統工芸育成研究所 体験ラボ  藤田さん・阪田さん

★追記・最初に紹介した画像、赤松の節や根、この材料があったからこそ、思いの外松煙が取れました。一方、松煙の質を上げる工夫の一部、竹の煙道計画は失敗でした。火元に近かったため、竹が熱を多く受け、付いた煤は竹からの油によって固着してしまったのです。

森山としては、出来がった墨の比較で思いの外燻炭墨の可能性を再確認することになりました。粒子の大小、一番幅が大きいことに由来するものです。記録材料というよりも表現材料としてと言った方がよいかもしれません。今回は膠の濃度を通常より濃くすることで乾燥も早まりました。気温も下がったことがプラスに働いたようです。

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