表具(表装)という伝統と今 児玉希望の描法研究
「表具(表装)という伝統と今」が、 昨日から井原市にある華鴒大塚美術館で始まりました。会期は、2026年7月7日(火)から9月23日(水)です。
展示会場2階の「 日本画の今ー表現と形 森山知己・原田よもぎ・潮嘉子」については、先日ご紹介しました。その後、準備はより進み、屏風の材料展示、そして倉敷芸術科学大学での屏風制作動画も公開となっています。各自の出品作品制作の様子、また大学での屏風制作への取り組みの様子、地域とのコラボ、活動なども短い時間ですが紹介しています。
流されている映像紹介のもう一つのコンテンツは、2013年に制作した児玉希望作「一鷺栄華」の描法研究動画(約10分)です。
児玉希望作「一鷺栄華」、2013年に行われた児玉希望展でその描法について研究をさせていただきました。今回の展示では、作品そのものの横に私が描いたプロセス実作が並んで展示されています。色の違い、筆使いの違いなど詳細に確認されると・・・・ドキドキです。
この作業の目的は、詳細な模写を作ることが目的では在りません。
作者がどのような技術を用いたかを明らかにすることで、日本画における価値観の在り処を明らかにしようという試みのひとつなのです。材料や道具、そして作業のプロセスを推測し、同じように描けるかどうか(同じ材料、水を使った作業ですから、水の性質がその作業時間を自ずと規定します)を試すことになります。いわゆる私が行っっている画家として「倣う」模写なのです。
画像に写った本作品と、私の描いたものの違い。本作は額に入っており、全体としてワントーン色が沈んで見えます。また金泥、青金泥を使った表現から、見え方には光の反射が関係します。ライティングの角度も合ってプロセス紹介のほうが光をよく捉えており、明るく見えることはご容赦ください。2階踊り場のモニターでは、この作業のそれぞれをどのようにして描いているかを動画で紹介しています。全てではないにしろ手仕事の様子、作業のスピードといったものをご覧いただけると思います。
以前、笠岡市立竹喬美術館で制作に関わらせていただいた
竹喬が書き残した日本画の技術について、またその価値観の在り処、そして教育について。
また、私のホームページで要約を公開している
川合玉堂は、児玉希望の師匠です。これらの関連がいろいろなことを教えてくれたように思います。
私のサイト「日本画ってなぁに」では、これまで膠を巡る話や、筆のこと、運筆の話、和紙や絹のこと、そして長く継承してきたと考えられるこの国の基本的な絵を描くプロセスなど、具体的な素材や技法を手がかりに、折りに触れまとめてきたつもりです。そして、それらに関する気付きをまとめた本、畫の本<技之巻>を、2017年に上梓しました。この本のコラムに書いていたこと、そのつながりの中に何かあるのではと思い続けてきたことが、ここに来てやっと一つにつながったのを感じています。(本当に全く遅い歩みです・・・)
そして、あのおりまとめとなる以下が予告されていました。
THE BOOK OF JAPAN Ⅱ 畫の本<知之巻>
私はこれまで、具体的な素材や技術、目的によって日本画を考える事、行うことが、「伝統」という言葉に具体的な取り組みの形を与え、また素材や道具などまた関係する表具と行ったところまでその存続に関わるという考えを深めて来たように思います。2つを分けるのではなく、
THE BOOK OF JAPAN Ⅰ 畫の本<技之巻> 増補版
という形で、近いうちにこの10年の取り組みを形にできたらと思っているところです。
そしてもう一冊!当初構想とは違った形、今日なりの本として作れたらと構想中です。
お知らせ方々。
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