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筆の里工房 館長スペシャルトーク「書と日本画の魅力とその共通点」

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 広島県安芸郡熊野町にある施設、筆の里工房に行ってきました。目的は表題の館長スペシャルトーク「書と日本画の魅力とその共通点」で基調講演をさせていただくことでした。講演後、館長である名児耶明さんとの対談、質疑応答がありました。このおりの講演、対談については文字起こしされ、まとめてくださるとのことでしたので、内容はまたその折に。 初めて訪れた「筆の里工房」は、規模も大きく大変立派な施設でした。従事する町民も多く、町を代表する産業として、町民のこの筆の里に対する期待の大きさ、力の入れようを感じる展示、整備の様子でした。 筆作りの工程はもちろんのこと 文房四宝に関する展示もあり、 筆作りの実演も生で見られます。 実際に文字を書くこと、アドバイスしてくださる方もいらっしゃいました。 筆作りに町民の大変多くの方が従事されているとのこと、館の眼の前で関連する新しい施設が工事中でした。教育普及を目的とした施設とか。伝統を続けていく取り組み、すごいなーと感心して帰りました。 講演に来てくださった皆様、大変ありがとうございました。

はなととり 書と日本画の魅力とその共通点

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 広島県熊野町の筆の里工房で「はなととりー筆跡で感じる日本の四季ー」展が開催されています(11月9日まで)。岡山県井原市にある華鴒大塚美術館の所蔵品による合同企画展です。 館長スペシャルトークでゲストとして名児耶明館長とお話させていただきます。 館長スペシャルトーク「書と日本画の魅力とその共通点」 日時:10月26日(日) 13:30 〜 15:00 かつて日本画の魅力と言われた「線とその色彩」それらは毛筆によって描かれました。日本画の「線」の話、そしてその筆法から生まれる「色彩」の話など出来たらと考えています。 華鴒大塚美術館では、11月30日まで「書画と筆」展が行われています。こちらも筆の里工房の所蔵品との合同展です。 関連事業で、11月2日 倉敷芸術科学大学の原田さん、潮さんが短冊制作のワークショップを行います。詳細は美術館までお問い合わせください。

倉敷屏風祭2025「はしまや」さんと「きび美ミュージアム」に屏風

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 2025年倉敷屏風祭が始まります。 10月18日(土)、19日(日)両日とも10時から17時まで。 美観地区宵待ガーデンの「きび美ミュージアム」ではもちろん「水の記憶」個展中です。3点の屏風を展示しています。「水の記憶」六曲一隻、同二曲一隻風炉先屏風、「若竹」二曲一隻屏風です。また例年通り、東町の「はしまや」さんでも下記「龍波図」四曲一隻屏風を展示します。 きび美ミュージアムの「水の記憶」六曲一隻 18日土曜日、14:00からは、「きび美ミュージアム」で個展出品作の展示解説を予定しています。きび美ミュージアム2階展示室には、以下のように「龍門鯉魚図」が展示されています。 反対側は、こんな様子。 墨色を基調とした展示です。展示室はまるでこの展示を予測していたかのような色合い、設えになっています。正面には 大人になった龍が!! 茶室の展示。時間によって刻々と変わる姿。 外が暗くなりかけた5時頃には部屋の明かりがスポットライトのように竹林に輝きます。 森山は両日とも、倉敷の街におります!!。 よろしくお願いいたします。 ご案内まで。

水の記憶 きび美ミュージアム 森山知己個展

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10月10日(金)きび美ミュージアムでの 水の記憶 展がスタートとします。会場設営が本日無事終わりました。11月9日(日)までの会期です。入館料は無料です。ちなみに上記画像、残念ながら茶室の中に自由に入ってはいただけません。窓ガラス越しになってしまいます。お庭、竹林から、また通路側からご覧いただけます。窓ガラスに映る緑と一体となった世界も計画の一つです。 磯谷晴弘さんのキルンワークによるガラス作品、また榎本勝彦さんによる木彫作品、今回、知縁あるお二人に賛助出品していただいています。きび美ミュージアムの茶室建築、竹林に水の流れるお庭、畳ヘリの直線、襖の唐紙、窓からの自然光。楽しんでいただければ幸いです。 美観地区、中心を流れる倉敷川沿いからそのまま入ってこられるきび美ミュージアムのホール展示。 水墨による六曲一隻屏風 もちろん「水の記憶」です。手前のガラスは磯谷晴弘さんの作品です。 この他、靴を脱いでとなりますが、美術館2階には墨による水の記憶シリーズ、龍門鯉魚図、龍などが展示されています。通常有料ですが、こちらも今回の展覧会では無料で入場いただけます。 ※以下、2階展示ケースの様子紹介画像追加(10月11日)2枚 10月18日(土)14:00から 私が展示解説をいたします。ちょうど「18日、19日は倉敷屏風まつり」の期間です。両日とも私は倉敷の街なか、東町の「はしまや」さんか、きび美ミュージアムの個展会場、さもなくば、倉敷屏風祭りを巡っています。お目にかかれましたら幸いです。(一声かけていただければ・・・・) 倉敷芸術科学大学助教の原田よもぎさん、潮嘉子さんによって以下のイベントがあります。  10月12日(日) 10:00から 杉団扇にたらし込みで季節を描くワークショップ           12:30から 和紙の缶バッジに胡粉で月を描くワークショップ           日本画制作VRの展示(この日のみ!) 11月2日(日)には、美術館学芸員による対話型鑑賞 (11:00から と14:00からの2回) ご案内まで

和様に倣う 森山知己 今治市大三島美術館 個展情報

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 10月4日(土)から12月7日(日)までの会期 今治市大三島美術館で個展を開催していただきます。題して 「森山知己 和様に倣う」展です。これまで取り組んできた私の日本画を探す試みや制作。古いと言われた技術や様式を実際に試して描いてきました。その中で和紙や絹などの材料や素材に関すること、また筆や刷毛といった道具、もちろん墨や絵の具、膠など、加えてそれらをどのように使うかといった技術、もちろん表具も!これらの中にあるこの国の価値観と出会うことになりました。それぞれワクワクする体験となりました。 上記は展示途中の様子です。ゆったりと大きな空間での展示、倣作もあり、様式は様々です。室町から江戸、そして現代まで。屏風という形式で見せること、平面としてだけではなく、立体としての展示ももちろんあります。 現代に生きる私が使う 金や銀、天然の絵の具、昔から使われてきたと思われる材料や技術の使用によって制作されたそれぞれ、見て下さる方々にどのように届くでしょうか。 ガラス・アクリル無しで直接見ることができる展示も多くあります。これらは、金銀箔、天然絵具の色や質感、水の時間、私の手の痕跡、身体の動きの記録でもあります。尾形光琳や室町の絵師の「手・身体」と、私の何が違うのか。倣う行為は時間に関する捉え方、考え方、それぞれの身体の違いを知ることになるのです(そんなことに出会わせてもらったと考えています)。もちろん当時の美意識のあり方についても。 また、倉敷市帯江の不洗観音寺客殿様の襖絵 瀬戸内春望図 も、一面として展示していただいています。客殿の中で見るのとはまた違った姿として見ることが出来ます。 この他、山陽新聞社様から「醍醐桜」 「瀬戸内残春」をお借りして展示しています。発表当時の企画事業、「吉備悠久」の実際の新聞もご覧いただけるよう準備しました。 「海中図」、「松」、この他、大三島美術館所蔵の作品(当初、展示予定でなかったものも追加展示されています−残念ながらこの作品は図録掲載がありません) 展示、この他展示ケースを使った硫化実験、伊藤若冲の筋目描き倣作、酒井抱一の倣作など指導に用いた資料、またモニターでは、制作動画紹介(尾形光琳の紅白梅図倣作、日月四季山水図倣作、最初に紹介している白象図制作)などもあります。 会場は、今どきですので、撮影可・インスタで上げる場合は、美術館...

講義・実技 箔の厚みと硫化表現 を行いました

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 日本美術家連盟の主催する公開講座の講師を9月24日行ってきました。講義したことを参加者のみなさんが実際に作業を行い体験する趣向です。(★使用している講座画像は日本美術家連盟様の撮影によるものです) 随分昔の話(2011年)になりましたが、いろんなご縁をいただき、尾形光琳の描いた国宝 紅白梅図屏風、あの「黒い流水」を試して描く機会をいただきました。またそれは、結果的に 私自身のテーマであるこの国の絵画、伝統とは何か? その問いの答えにつながる手がかりとなったのです。 昔、日本画滅亡論が言われたその頃、その魅力は「線と色彩」であると当時行われた美術専門誌のアンケートで多くの日本画家、洋画・版画家が答えたそうです。取り組む手法は違えど、この国の絵画文化において共通する何かを見つけていたことが想像されます。一方敗戦は、明治維新とは異なる西欧化への大きな動きとなり、それ以前との断絶と言って良い程の状況を生んだとのことです。戦後生の私が日本画に出会い、学ぼうとした頃には、日本画の壊すべき伝統とはなんだろうと改めて考えるような状況となっていました。 「線と色彩」のひとつ、「線」についてがまず最初のテーマになりました。琳派と呼ばれる流れの中に、風神雷神図を直接の関係なく、時を越えて描く事例が認められました。その髪の毛の描写、線にまず注目しました。 「そ」の話  各画家における風神の髪の毛の描法を比較する中で「線の秘密」への糸口へとしたのです。 線の秘密・水の時間  尾形光琳の紅白梅図屏風と同じ大きさで、また同じように描こうとすることで、描く身体を感じることになりました。それは「毛筆」を使うことによって明らかになるのです。尾形光琳の硫化表現は、筆跡によるマスキング、運筆について注目することになりました。 この間、墨、筆や膠、刷毛、表具、これらに手がかりとなる要素を次々に見つけました。 「たらし込み」における、箔の厚みで変わる発色の違い。梅の枝の長さと描く時間、水の量の関係。「線と色彩」について、墨や、胡粉の成り立ち、絵の具の良い発色、色彩について毛筆の使い方がベースとなっていることがわかって来たのです。尾形光琳の紅白梅図を同じ大きさで描いたからこそ知ることが出来たことでした。 講義ではこのあたりを図や筆の動きのアニメーションによって紹介しました。 そして紅白梅図に関わること...

和様に倣う 森山知己展 愛媛県・今治市大三島美術館

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 しまなみ海道、大三島にある今治市大三島美術館で個展を開催していただきます。10月〜12月頭までの会期、この季節、サイクリングで島を訪れる方が多いのだとか。海外からの方も多いと聞きました。 ありがたいことに、私の「日本画ってなぁに?」という問への試み、主要な作品をまとめて展示していただきます。一連の流れとしてご覧いただくことで何かが伝わればと思っています。 倣日月四季山水図屏風、倣光琳筆意 紅白梅図屏風他  出品作品の一部紹介  このほか、瀬戸内の風景、襖絵、醍醐桜なども展示されます。 通常、自家用車で向かう方が多いのは確かなのですが、福山駅から今治行きの高速バスが出ています。自転車(サイクリング)も積むことができるバスだとか。高速道路に自転車道が併設されています。 この頃には、少しは涼しくなるでしょう。海と島影、パワースポットとしての大三島。 ご案内まで。