大三島美術館 夜の特別鑑賞会 倣日月四季山水図屏風


 11月8日(土)に行われた一般的なスタイルの昼のギャラリートーク、そして当日夜の「夜の特別鑑賞会」。おいでいただいた皆様、ありがとうございました。

最初に紹介の画像は、大阪 天野山金剛寺様の国宝「日月四季山水図屏風」の倣作、太陽が描かれた右隻を照明を落として、横からの光線になるようセッティングして御覧頂いた様子です。静止画だとなかなか難しいのですが、昔、屏風が設置されたお堂の中での光を想像しながらのシミュレーションです。もちろん、倣作は、現在見られる状態からかつてこうではなかったかと銀箔の使い方など、想像して描いたものです。大きさ、縦横比も違います。


月が描かれた左隻。制作するに当たって行おうと考えていた銀箔の硫化表現をやはりやらなくてよかった!と実感しました。もちろん、銀箔が果たして当時(500年前)このように使われていたかどうかはわかりません。


この画像は、スタジオ撮影時、照明の異なる状況の撮影です(参考)

銀箔を貼った空が月明かりの様子、空の明るさに見え、また逆光の夜の雪山、夜の海の様に見えてくるような気がしました。夜の海に輝く波頭、月に照らされた松の生えた波打ち際に張り出した部分。暗い山中の滝が海へと流れてきます。

銀箔の空に銀箔の月。下塗りの効果を感じます。
私自身、予想していた以上にワクワクする体験となりました。

流石にロウソクの明かりによる照明を実際に行うことができませんでしたが、

ロウソクによる揺れる光がこれに加わったら・・・・
盛り上げの上に銀箔を貼った波頭にもっと表情が加わるのではないか。
太陽が背負う空、下塗りによって作られた銀箔のゆらぎが、大気の様子により感じられるのではないか。


そんなことを想像するだけでも楽しいひとときとなりました。

平面として飾ること、見ることもひとつの鑑賞体験ですが、屏風らしい飾り方、体験ということを意識する展示と今回なっています。

右は、尾形光琳作 国宝 紅白梅図屏風の倣作です。


屏風表現の面白さ。輪にしたり、円弧にしたり、山折り谷折りを変えたり、組み合わせたり。体験の提供、可能性を感じる企画となりました。報告まで。

コメント

このブログの人気の投稿

「日月山水図屏風」左隻の倣作⑩最終回 展示予定

「日月山水図屏風」左隻の倣作 その①

倣日月四季山水図屏風