緋鯉図屏風 2018年制作 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ 10月 07, 2024 「緋鯉図屏風」二曲一隻 2018年に制作した屏風です。森山知己のホームページサイト内で記事を作成していましたが、特別なコンテンツについては手作業で今後対応、アップロードし、日常的な情報発信はこのサイトで行いたいと思います。まずは新しいbloggerサイトのスタートです。2024.10.8 リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ
「日月山水図屏風」左隻の倣作⑩最終回 展示予定 5月 07, 2025 中央下部にある岩礁を描きこみました。描くことで、改めてこの時代の中国絵画的な表現を強く感じることになりました。これも今回の収穫の一つです。 海の表現、波頭、波の描き方など、公開されている科学調査(東京文化財研究所 真言宗御室派大本山 天野山金剛寺所蔵 国宝 日月四季山水図 光学調査報告書)による銀泥と金泥によって実際に描いてみることで、今回、その仕上がりの品の良さといったものを実感することになりました。また盛り上げ絵の具の上に銀箔による表現、銀砂子なども同様です。 光がどちらの方向から来るのかによって月が現れたり、消えたり。また空の銀箔が、夜の空間に見えたり、そうではなくなったり。月のみに鉛白の下塗りがあることによる大きな見え方の違い。今回結果的にそのように見えたことは大きな収穫でした。同時に銀箔による陸地の表現も月に照らされ輝く砂浜に見えると同時に海が一段暗く見え、いかにも夜の海らしく感じたり。波頭に貼ってある銀箔の光の反射についても、盛り上げ絵の具の上に貼ってあるからこそ多様な方向からの光を反射するのだと納得したり。 500年が経過した現在眼にすることが出来る屏風のそっくりなコピーを作ることが描く目的ではありません。この絵画の持つ魅力、人を引き付ける引力のようなものへ至る秘密を描くことで見つけ出したい、実感したいというのが偽らざる気持ちです。 絵描きとして、実際に描くことで知ること、得られること。「倣作」の意味についてを今回改めて確認する作業となりました。以前、幸運から行うことが出来た尾形光琳の紅白梅図屏風の倣作のおりに出会えたことを今回は意識的に行えたのです。琳派!に見られるような、私淑という継承が有り得るのだと。 絵の具の扱い、塗り方などは、ある意味で狩野派であったり、土佐派に包含されるものでしょう。ことさら特別のことでは有りません。何に「絵描きとして」共感しているのか。あえて言うなら、それは「この国の持っている豊かさへの共感」といったものではないかということなのです。 金雲も金箔を貼った後、最終的に金泥で照り押さえをしました。光の反射が一段押さえられ、水の流れ、波頭に使用した銀箔がより効果的に見える様に思いました。 日月四季山水図屏風 左隻の倣作作業レポートは、今回が最終回です。このあと、この屏風は表具師の方にお願いして、表の本紙に描くことで生じ... 続きを読む
作家の手業VR制作 11月 19, 2024 倉敷芸術科学大学大学院の学生(兼丸さん)が取り組んでいる修了作品に協力させてもらっています。作家の制作中の視点をVRで保存しようという試みです。ガラスの張先生、そして画家の私がお手伝いすることになりました。絵の制作についての撮影場所は、森山宅アトリエです。 作業を第三者の視点で保存する試みはいろいろとあると思いますが、手元、画家の視線が何を見ており、何に注意しているか、また、右手だけではなく左手で何をやっているかも視線が追えば記録されます。片目づつ4K解像度で録画するヘッドマウントカメラ着用、上記はその撮影の様子です。ずいぶん軽いシステム(つけていてもそれほど大きな負担にならない重量)になっています。担当教員の丸田先生・兼丸さんによる制作です。 システムをセットアップしている様子です。 カメラからの映像はトランンスミッターにより、携帯電話2台に片目づつ録画されます。レンズはかなりの広角で、生データーでは画像の歪みも見られますが、後作業で補正し、最終的にはメガネ型のビュアーをかけてVR映像体験となるそうです。 硯を研ぐ工程や、水墨サンプル、日本画絵の具を使って(胡粉をお団子にして溶いたり、金泥を溶いたり、絵の具を焼いたり、箔を貼ったり・・・・いろいろとやりました^^;)1枚の絵を仕上げるまでの工程を追った様子など。(画像は使用材料・道具などの物撮りの様子) 技術の保存・継承に新しい形、手法としてのVR。 さて、どんな仕上がりになるか楽しみです。来年初頭の倉敷芸術科学大学卒業修了展・加計美術館で公開予定です。 技術の学習・継承に大変興味深いツールになるように思います。 途中過程の紹介まで。 続きを読む
「日月山水図屏風」左隻の倣作 その① 3月 16, 2025 コロナ禍の2020年8月、縁あって熟覧の機会をいただいた大阪、天野山金剛寺の国宝「日月四季山水図屏風」。その後、2022年にその右隻を制作しました。私淑し、倣って描いた絵「倣日山水図」として倉敷屏風祭などに展示したのはすでに紹介しています。 倣日山水図制作 10/23//2022 材料技法 その後、2023年5月に岡山天満屋で開催しました個展で展示したおり、光栄にも天野山金剛寺座主の堀智真様にご高覧いただくことができました。そのおり、こんな一面(波頭など)、見え方もあったのかもというお言葉をいただき、至らぬ私の制作とはいえ、お話ができたことを大変嬉しく思いました。 波頭について、「盛り上げ」に銀箔を貼った表現ではなかったか。屏風にほぼ原寸大で描く意味など、ワクワクしながらの制作だったことは言うまでもありません。実際、屏風として飾ることで、横からの光線による見え方など気づきの多いものとなりました。 美術研究者の方々にも見て頂く機会となり、題名について、「「倣日山水図」は、ありえない。(実際にはもっと柔らかい言葉でしたが・・・そんな名前の絵は無い)」という指摘をいただくことになりました。何故なら、天野山金剛寺様の国宝、正式名称は「日月山水図屏風」もしくは「日月四季山水図屏風」で、「倣」という言葉を着けて題名とするなら左隻も制作し、本来の一双とし、題名は、「倣日月山水図屏風」もしくは「倣日月四季山水図屏風」とするのが筋!とのことでした。 緑青の色が特徴的なこの右隻に私自身が強く惹かれていたこともあります。一双として制作するということは実は当初考えていなかったのです。 現在、過去作品も並べていろいろと見ていただける個展開催の計画が進んでいます。その会場に「倣日月山水図屏風」一双にして並べ、自分自身としても見てみたいと、これを機会に左隻も制作することにしました。右隻を制作してから3年が過ぎています。はたして一双の手(私自身の作業)がうまく揃うのか?も心配ではありますが、自分なりにチャレンジの意味を見つけることができたことが大きいのです。 現在黒っぽく見える空にはかつて銀箔が貼ってあったのではという研究結果が発表されています。私自身も拝見した折、目視でそうではないかと思いました。はたしてこの銀箔は、銀箔そのままの色、質感であったのかというところに注目、好奇心が動いているのです... 続きを読む