「日月山水図屏風」左隻の倣作 その⑦

画面全体を見渡して、大きな階調、色のバランスをとりながら完成に向かいます。下塗りの細かく明度の高い粒子の絵の具から徐々に粒子の大きな岩絵具を重ね色調を作っていきます。昔、大正生まれの先生から岩絵具を活かした使い方をしたいなら、プロセスとして3層から4層程度で使うのが好ましいと聞いたことがあります。 いくらか経験を積んだ今、私もそのように思うようになりました。実際、昔の絵師の方々もそのように使う中で、何かしら自分らしさを作り出していたように感じます。 尚、緑の山の色合いが肉眼で見るのとは少々ことなります。天然緑青の色を写真で出すのはなかなか難しいのです。 滝が海に流れ落ちるあたりも少しづつ形になってきました。銀箔の輝き、線の動きによる表現の面白さを感じています。 色の重ね、形の表現など、ふと眺めていて昨年広島県立美術館で見た児玉希望の絵を思い出しました。中国地方の出身、自然の捉え方、京都の絵、土佐派的な何かとのつながりでしょうか。 上塗りの終わった雪山に松や木々を描きこみます。大きな面積の平面的な塗り方に対して、盛り上げを使った細部の姿です。 迷うことは少なくなった気がします。ひたすら描き進めています。(実際は、身体・体力的な衰えを感じるばかりですが・・・)残りあと僅か・・・。