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1月, 2025の投稿を表示しています

日本画の画材について

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 東京でのグループ展「現代日本画10人展(銀座 永井画廊)」も無事終了しました。私も東京を離れて随分と時が過ぎました。大勢の方に現在の私の取り組み、制作の近況をご覧いただけたようで、ありがたい限りです。さて、今回の展覧会に合わせて東京に出向いた折、神田淡路町にある旧知の絵の具屋さん、得應軒本店さんに久々に立ち寄ることが出来ました。普段、制作に必要な筆や刷毛などの道具、材料の和紙や絹、絵の具など必要になったものについては、その都度、宅配便で送っていただいており、多く場合、制作に困るということはないのですが、やはり実物を目にすると、確認できること、また新しい出会いもあってワクワクします。この出会いが新しい表現や、昔の画家方々との共感につながることもあるのです。またその場で店主の方とお話すること、できることが新たな気付きとなったり。ネット時代だからこそ、実店舗、専門店へ足を運ぶことの重要さを思います。  戸棚に並んだ多様な筆や刷毛の数々、見知ったものもあれば、私の記憶とは違った形のもの、姿のものもあります。普段使っている刷毛が随分使い込んだということを実感するのもこんな時になります。刷毛の毛が長年の使用によって削られ、短く、また薄くなっていることを新品との比較によって知るのです。今、使っている3寸刷毛は、使い始めてからもう15年程度は有に過ぎていると思います。ここのところ絵具の含み、刷毛の力が弱くなってきたと感じている事もあって、新しい刷毛を下ろしたい(数年前からすでに新しい刷毛を手元に準備しています)と思っていたのですが、そのまま使っていたのです。そろそろ新しいものを加えて使おうと思いました。また、擦り切れたまま使っていた一寸五分の刷毛を新調することにしました。実物に触って見ることで、使い勝手の良い必要な毛の厚みなど確認できる意味の大きさというものを今更のように感じました。  大学に入学し、日本画を本格的に学ぶようになってまず揃えた筆や刷毛、硯や墨など。こうしたものが日本画を学ぶ折に必要ですよと指導者から指示され、買い揃えたのは50年近く昔の話になりました。このおり、購入を勧められた墨(栄寿堂 瑞龍)がいつしか製造元が廃業し、流通在庫もなくなったため、購入できなくなったことを知って驚いたり、また筆や刷毛の作りがいつの間にか同じ名前であったとしても最初のものと作りが変わっ...

伝統技法の手業アーカイブ3DVR公開

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  今日から始まった倉敷芸術科学大学 卒業・修了制作展 加計美術館で行われている修了制作展 大学院修士(2025年1月15日から1月26日まで)兼丸優希さんの修了作品、「伝統技法の手業アーカイブ」3DVRの体験デモコーナーの機器です。モニター下においてある黒いサングラス状のメガネをかけると奥行きのある3D空間、絵を描いている私の視線で作業を見ることが出来ます。 2024年11月19日に紹介した  作家の手業VR制作 https://nihongastyles.blogspot.com/2024/11/vr.html 作業の3DVR映像に加えて、私の音声解説、文字情報による紹介などが一体として見ることが出来ます。少し映像のスピードが早いのでは?という話を作者にしました。視野と視線移動のスピードの関係など、より研究の余地はありそうですが、3DVRが随分身近になったのを感じました。 タイトルポスター 解説も展示されています。 第三者の目線、カメラ映像に加えて、制作者の視線を今後どのように活かしていくかが問われますが、こうした作業について、教育利用への可能性を感じさせてくれたように思います。 作者の兼丸さんと展示風景の様子です。ご紹介まで。

現代日本画10人展 銀座・永井画廊

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 会場写真です。10人のうち、6人分が写っています。各自30号(長手が91cm)と6号程度の作品合わせて2点を出品しています。 出品作家は、63歳から70歳。同級生もいれば、20代から30代にかけて一緒の展覧会に出品していたメンバーも。私だけが関西在住。メンバーのほとんどは東京在住です。 日本画が注目された1980年頃から1990年代。多数の展覧会が開かれました。日本のバブル景気もあってのことだったと思います。日本画において、それまでの流れと異なる新しい動きとして、注目していただいたひとかたまりなのです。 早い段階で東京を離れた私以外は、その後の東京、画壇の中を過ごしてきました。もちろん画廊、ビジネスの方々も。 自然の中、田舎で暮らした私と、どっぷり東京にいた方々。 日本画という名前、言葉が何を意味するのか。そんなこと関係ないと思った者もいれば、私のようにあえてこだわった者もいます。 一緒に絵を並べると、自分の絵がどのように見えるのか?。 そんな思いで、会場に出かけてきたのです。 面白い展覧会になっていたように私は思いました。 展覧会は1月25日まで続きます。さて、どんな感想を聞くことができるのか。