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現代日本画10人展 案内+③

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上記画像は岡山シティーミュージアム「国宝・名宝!?展」より(展覧会は終了しています) 俵屋宗達の松島図屏風(部分)です。松の表現、波の表現、同じく展示されていた尾形光琳の同図と比べると、私はやはり宗達作が好きです。もちろん風神雷神も。光琳が手本としたオリジナルだからということもあるかもしれませんが、ゆったりとした時間感覚とでも言えば良いのか筆の動きに違いを感じます。 またレプリカを撮影したスマホの癖とでもいえば良いのか、自動でコントラストが強調されてしまい思う以上に饒舌な画面になってしまっているところが残念ですが、画集で見ていたときには気づかなかった砂子の使用や波の線について、、また松の描き方など、この距離で見ることができるからこそ、またその情報量が増えたからこそ知ったことが多い体験でした。 本物ではありません。 それでも本物はこのように描いているのではないか、こんな速度で筆を運んだのではないかを教えてくれるように思うのです。所蔵家であるとか、特別な研究者であるとかでなければ近づくことも許されない作品の、全てではないにしろある種の情報に触れることができる!。私にとっては刺激的なことなのです。 さて、こうして知り得たこと、私の理解が正しいのかどうか。 憧れたこと。オモシロイと思った体験を私なりに表現できるかどうかを試してみること。 試して描いてみました。 F30号で描きました拙作「松 Let's dance」2024年制作です。2020年にRSK山陽放送 能楽堂ホール tenjin9の鏡の松を描かせていただいたこともあり、また今年、岡山天満屋の歳暮カタログの表紙を依頼されて松を描いたこともあって、今回東京でのグループ展出品作として取り組んでみました。私が感じた何かしら、楽しんでいただければ嬉しいのですが・・・・この作品と、F6号「松 Go for a swim」2点出品させていただきます。同世代の10人の作家がそれぞれ2枚づつの出品。 久々の東京、また作品出品。岡山での山暮らし、時間感覚が絵にどのように現れているか、どのような違いになっているか。懐かしい方々の作品と並べて見ることで自分がなにを感じるか・・・・。 現代日本画10人展 2025.1.10(金)から25(土)永井画廊 東京都中央区銀座8-6-25 河北新報ビル5F 日曜・祝日休廊 10:00から18...

レプリカについてを考えてみた②

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長谷川等伯の松林図部分です。レプリカ展会場でiPhoneにより撮影しました。自動で強調されたコントラストなど気になるところもあるのですが、自動でのLive撮影は、ストロボなど補助光がなくても手ブレを感じさせない画像を実現してくれました。 レプリカではあれど、日常的に筆を使い、墨を使っている身からすれば、驚くほどの時間感覚、筆触の情報を伝えてくれているように思います。少なくとも昔の写真資料から比べれば雲泥の差、見たいところに注目して見ることができる下手な模写よりもずっと参考になる資料です。 俵屋宗達の雲龍図 特に水墨表現はシンプルな表現であるが故に、また通常、本物ではありえない近さで見ることができるが故にこれまで気づかなかったところ、学べる要素に出会うことが出来たように思います。 画像は岡山シティーミュージアム「国宝・名宝!?展」より

レプリカについてを考えてみた①

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 俵屋宗達の雲龍図屏風!、私の好きな絵です。たしか・・アメリカにあるはずなのに・・・・・。加えて出来たらいいなーと個人的に思っていた松島図屏風比べ、俵屋宗達の松島図屏風に尾形光琳の松島図屏風!!が並んでいます。このほか、長谷川等伯の松林図屏風に、宗達の風神雷神図屏風。この他にも、おおっ!!という絵が一同に並んでいます。 9月13日から岡山シティーミュージアムで国宝・名宝!?展が開催されました。?がタイトルに付いているようにこれらはレプリカです。レプリカと聞くとがっかりされる方もいらっしゃるかもしれません。確かに本物には遠い何かがまだまだあります。それでも大きさは同じ。立派な屏風仕立てでの展示です。 テクノロジーの進歩!、科学技術も出来ることをどんどん増やしているのです。今回、カメラや、プリンターの出入力機器の解像度の向上がどんなことを実現するのか、その一端を見せてもらったように思いました。マニアックな話ですが、支持体の紙がドーサ抜けした墨の染み込みの様子や筆の動き速度の変化、たらしこみの濃度変化表現など、驚くような進歩をしていました(10年近く前になりますが、この取り組みを拝見したことがあったのです)。そのおり、驚かされた金箔を貼る技術!、プリントアウトに本物の金箔が貼られることで驚くほどの効果を上げていました。その時から箔を用いたものにはそれなりに期待をしていましたが、それ以外も大きな変化を遂げていたのです。 綴プロジェクトの取組み、成果が並びました。10年近く前、この取り組みを京都で見た折、インクジェット出力そのままについてはまだまだと思ったものの、それに加えて伝統工芸士による金箔が貼られた姿、加わった姿には驚かされました。凄い可能性を感じたのす。・・・それでも、絵描きの私としては、もっと人間に投資して、人間による模写をもっとやってほしいものと思いました。そうすることで、素材や道具、技術の伝承、人間を育てることが大切と思ったのです。 あれから十年!!!テクノロジはどんどん進歩していました。 科学を使って本物にどうしたら近づくことが出来るのかは、それに関わる「人間」が熱意をもって本物が持っている「何か」を、可能な限り言語化し、出来ることを増やして来た結果だと思うからです。 それは、人間による模写も同じです。 すごく大切なこととあらためて実感させてもらいまし...